こんにちは!ももこです!
今回は食に関する、おすすめの本を紹介します。
みなさん、「食べること」は好きですか?
「食べること」は、人生に密接した娯楽だと思っています。
そんな「食べること」への愛があふれる小説を、3冊紹介します!
1冊目:平松洋子『かきバターを神田で』
すべての食べ物にスポットライトを!
食べ物には、それぞれが主役になれる舞台が用意されています。
そこに連れて行ってくれるのが『かきバターを神田で』です。
「とんかつの夏」「水なすの季節」といった、題名だけで情景とよだれが湧き出てくる短編が並ぶなか、私のいちおしは「トマトをちぎる」です。
収穫の話ではありません。トマトの切り込みに指を入れて、「ええいままよ」と手でちぎるのです。
この艶かしいトマトに、オリーブオイルと塩をかけてかぶりつきます。
あられもない姿と化したジュワジュワのトマトは、まさに洪水。
旧友の知らなかった一面を垣間見てしまったような、背徳感すら覚える喰らい方です。
読後に、スーパーへ駆け込んだのは言わずもがな。
この他にも、目玉焼きやぬか漬け、しらたきなど、失礼ながら「舞台があったのか!」と思ってしまう話もあります。
もちろん、腹ペコのときはさざえカレーや鰻なんていう、食べ応えがある舞台もありますよ。
2冊目:平野紗季子『生まれた時からアルデンテ』
食べることの中毒である、「食中毒」を患う彼女が描くごはん狂の世界。
「生まれた時からアルデンテ」は、昨今の写真映えを逆行する食べ物エッセイです。
彼女にとって食とは、ただの生命維持の手段ではありません
たったの一滴で、その場を制圧してしまう激物である、レモンについての「のさばるレモン考」。
料理にうやうやしく被されたフタを、目の前でパカッとするアレ(クロッシュというらしい)を「料理界のドラムロール」だと言い、それについてのラブが止まらない「パカの話」
携帯を見ながら頬張っていたトーストを隠したくなるような、食への愚直さです。
あと、「戦争を始めるフルーツサンド」の話も好きです。
確かに、現代じゃあ激戦。
3冊目:吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』
おいしいスープを背景に描かれる、過去と今とその先の物語。
この物語でいちばん美味しいのは、サンドイッチです。
そんな、サンドイッチに合うスープ作りにのめり込んでいく話が、「それからはスープのことばかり考えて暮らした」です。
引っ越して来たばかりの商店街にあったサンドイッチ屋が、物語の舞台です。
そこのサンドイッチの美味しさに魅せられた彼は、そのサンドイッチ屋で働き始めます。
そして、そのサンドイッチに合うスープ作りをするのです。
味って抽象的で、言葉を使って表現するのは難しいですよね。
「おいしい」は簡単。
簡単だけど難しい。
手巻き時計のネジを巻くみたいに厄介です。
「おいしいスープ」には、何が必要なのか。
材料は、美味しい食材だけではありません。
もし、知りたければ「3」と書かれた看板のサンドイッチ屋を、尋ねてみてください。
水曜日以外、耳を切り落としている彼が、教えてくれるかもしれません。
最後に
私には野望があります。
それはバルセロナで、焼きたてパリッパリのバゲットに、たっぷりの生ハムを詰め込んでかぶりつくこと。
私もいつか、
バゲットサンドをバルセロナで。